カスタム検索

VUメータの製作

 「手作りアンプの会」2009年冬のお寺大会の課題は、フォノイコライザアンプです。今回は音量を合わせて聞いてみようということを提案しました。 いつもは、適当に音量を決めていて、比較試聴し難いためです。このため、VU計を作ってみることにしました。
 VUメータは普段使うことはないのですが、アンプの試聴会なんかでは音量合せが出来て便利です。また、針式のメータにランプが点いているものは、 飾っておいても雰囲気が良くなります。

1.設計方針
 VUメータですからVU表示ができればいいのですが、それだけでは面白くないのでピークレベル及びピークホールドの表示もできるようにします。 レンジは、通常家で音楽聞くときのお音量が0.1W程度ですし、夜間に小音量で聞くときは更に小さくて0.01W程度です。 このレベルの音量を測定できるように、AC 0.28Vから測定できるようにします。

2.部品及び回路
2.1 部品
 VUメータは、西澤計測研究所のR-55にしました。VUメータとして使ってみると、(3.9kΩの抵抗を直列に入れたとき) AC電圧と目盛り表示の関係がよく合っています。また、ピークメータとして使う場合は、 直流入力電圧と目盛りの関係がある程度合っている必要があります。以前、安価に入手したVUメータを調べた時は、 使える範囲が狭くて使えそうもありませんでした。しかし、西澤計測研究所のR-55は、 直列に4.7kΩの抵抗を入れると+3~-10dBまでほぼ合っています。これであれば、ピークレベルメータとしても使えそうです。
 ケースは、ひたちなか市のジョイフル本田で見つけた工具箱です。大きさと色がちょうどいい感じだったのでこれに決めました。 値段も700円と安いです。
 オペアンプは、昔、買っておいた三菱のM5238です。FET入力なのでピークホールド回路に使えます。通常は、 入手の容易なLF356とか、LF412、NJM072あたりのFET入力のオペアンプを使うのがいいと思います。
 その他、スィッチ、IC、抵抗、コンデンサは、一般的なものです。

2.1 VU表示、ピーク表示回路
 アッテネッターは、抵抗とロータリースイッチで組み立てます。計測器として使う訳ではないので、それほど正確である必要はないと思います。 E12系列の抵抗でそこそこの精度が出るようにしました。
 最小レベルが0.01W(8Ω負荷)/0.28Vですから、 VUメータに3.9kΩの抵抗を入れた時の0dBである1.2V程度まで1段目のオペアンプで増幅します。その後に、 0~-10dB程度まで連続的にレベル調整できるように20kΩBのボリュームと7.5kΩの抵抗で減衰回路を加えます。20kBのボリュームは小型のもので十分ですが、 接触不良がなく、ギャングエラーの少ないものを選びます。VUメータは2段目のオペアンプで駆動します。
 2段目のオペアンプの出力は、ピークレベル回路にも使います。こちらは、プラス側だけの検出にしました。まず、 入力でVU表示とピークレベル表示を合わせるための半固定抵抗を通します。この後、マイナス側の信号を適当にカットしかつ過大信号が入らないように電圧を制限するため、 ツェナーダイオードを通します。続いてオペアンプ2個のピークレベル回路でピークレベル信号を作ります。 コンデンサへの充電電流を稼ぐために、2SD1818のエミッタフォロワを追加しています。放電用の1MΩはスイッチでアースから切り離し、 ピークホールドもできるようにしています。
 当初は、ピークレベル回路に0.68μFと3.3MΩを使っていました。しかし、針の戻る時間が速すぎるのと、 オペアンプのバイアス電流による電圧の低下が大きかったのでコンデンサの容量を増やし、4μFと1MΩに変更しています。 抵抗は3.3MΩのままだと針の戻りが遅すぎるので、1MΩにしました。
  ピークホールドは、コンデンサの容量とオペアンプのバイアス電流によって保持できる時間が決まります。三菱のM5238だと4μFの容量で2分間で1dB低下しますが、 実用上は問題ないレベルだろうと思います。
 VU表示回路と、ピーク表示回路は、トグルスイッチで切り替えるようにしました。










2.2 電源及びアース
 パワーアンプに接続するときに、BTL接続のアンプだと左右のコールド出力を接続することができません。また、 このVUメータのケースとBTLアンプのケースが接触することを考えると、コールド側をこのVUメータのケースアースに落とすこともできません。 このため、このVUメータは、左右の電源とアースを別にし、BTLアンプでも使えるようにしました。
 問題は、本VUメータのアースをどのように処理するかです。全くアースしないと、ノイズを拾って勝手にメータが振れてしまう可能性があります。 そこで、パワーアンプからのアースを4.7kΩの抵抗を通してシャーシアースに落とすことにしました。







ケースアースに接続する4.7kΩ抵抗


アンプ基板周りの配線概要



3.動作確認
 まず、スライダックで徐々に電圧を上げ、配線ミス、回路間違い、部品間違いがなく、ちゃんと動作するか確認します。次に、発振器とミリバルを接続し、 VU表示を0.28Vで0dBになるように合せます。続いてピークメータの表示とVU表示が合うように調整します。

 レベル表示の周波数特性を調べてみると、VUメータ表示だと50kHzで-1dB、ピークレベル表示だと20kHzで-1dBでした。ピークホールド回路については、 1kHzの単発パルスに応答しているようです。手元に、適当は発振器がないので、10kHz付近以上の確認はできませんでした。

 音楽を聞きながら、針が動くのを見ているのは楽しいです。飾っておくだけでも雰囲気が良くなります。








備忘録へ戻る

topページへ戻る


Copyright © 2002 minor-audio.com All Rights Reserved.

カスタム検索