東芝(Aurex)エレクトレット・コンデンサカートリッジ
(2007.7.18 イコライザ回路図、電源回路図修正)
(2011.8.20 無線と実験1974年9月号p174 柴崎さんの記事の回路図を追加)
いきさつ
東芝のオーディオブランド Aurex を記憶している人は少ないと思います(今、残っているのだろうか?)。東芝は、ちょっと(というか、だいぶとい
うか)変わっている製品を出していたメーカーでありました。
エレクトレット・コンデンサカートリッジ、カセットデッキのノイズリダクションシステムのAdresなんかがありました。メジャーにはなれなかったので
すが、新たなものに挑戦する考え方が見えていて、面白いとおもいました。
さて、1977年頃1974年9月号に「無線と実験」に、コンデンサカートリッジのイコライザーアンプの記事がありました(作者は思い出せない柴崎さんです。ボロンさんによると、ラジオ技術
にも記事があったらしい。)。174頁に載っている回路図を以下に示します。
この時は、こんなもがあるのかと思った程度でしたが、次の年1978年頃にこのエレクトレット・コンデンサカートリッジ(C-404EX
だったと記憶している)が安く売っているのを見つけ(あまりに互換性がないために、たたき売り状態だったらしい)、購入しました。
無線と実験の記事を参考にして作ったのが、下記のイコライザーアンプです。
エレクトレット・コンデンサカートリッジは、出力レベルが高いだけでなく、出力インピーダンスも低いようで、カートリッジ出力をイコライザー回路に直結
しても問題ないようでした。イコライザーアンプの増幅率も10倍程度あれば十分ですし、イコライジングが終わった後の増幅なので、許容入力電圧を気にする
必要もありません。結果として、簡単な回路になっています。
私が製作したのは、ノートの日付を見ると1978年7月2日になっているので、この頃に音を聞いていたと思われます。
エレクトレット・コンデンサカートリッジアンプの製作
1.イコライザー回路
無線と実験の記事そのままの使ってい(ると思い)ます。MM型カートリッジ、MC型カートリッジなどは速度検出タイプです
が、コンデンサ型カートリッジは位置検出タイプなので、RIAA再生カーブの逆に近いカーブになるようです。ボロンさんのサイトに東芝が発表した回路が
載っていますが(ボロン的日記
2001年3月前半)ほぼ同じ回路になっています。
RIAA再生の回路に慣れていると、高域を増幅して大丈夫か? ノイズは大丈夫か? などど考えてしまいます。
(追加)
うっかりしていたのですが、このカートリッジは左右の位相が反転しています。このため、どちらかのチャンネルを逆相にする必要があります。 そこで、左
チャンネルの出力を反転側から取り出しています。
(2007.7.18)
回路図に間違いがあったので、修正しました。ソースフォロワの下側の定電流回路は、マイナス電源に繋がっています。
2.アンプ部
増幅率が10倍あればよいのですが、逆相出力が必要なので1段の作動アンプ+ソースフォロアにし、左チャンネルの出力を反転させています。 入力許容電
圧を考慮する必要がないし、出力もラインレベルですから、NO-NFBアンプだとこんなものでしょう。簡単に作りたい場合は、オーディオ用OPアンプでも
使えばよいと思います。
気を付けなければいけないのは、右チャンネルのアースに9Vの電源を供給するする点です。左右のアースが共通になっているプレーヤーではもちろん使用で
きません。また、アーム、シェルのアースがどうなっているか確認し、必要なら配線を左右逆にすることも考える必要があります。
3.電源部
電源部も、可能な限りNFBを使わない構成にしてあります(作ったときに38Vのツェナーダイオードがあればできたのだが)。エレクトレット・コンデン
サカートリッジの電源ですが、アームやシェルの配線をいじった時や 違うプレーヤー接続した時にショートする可能性が高いので、抵抗+ツェナーダイオード
で構成しています。
(2007.7.18)
電源部の過電流保護回路が、間違いというか、正常に動作しない回路になっていました(以前の回路図はこちら)。昔 使っていたときは、以前の回路図の電源でも動作していたのですが、MM型カートリッジ用のイコライザアンプの電源を調べていたときに不具合があることが分かったものです。
これを修正するとともに、電源全体を安定に動作する回路に修正しました。
4.音
これを作った頃のプレーヤーは、アームがオーディオクラフトAC-300、ターンテーブルがソニーのTTS-6000、シェルがオーディオクラフトの
AS-2PLでした。比較に用いたカートリッジは、オーディオテクニカAT-15E(当時、私が常用していたものです。最近まで20年間以上作られたロン
グセラー)です。MMカートリッジ用のイコライザーアンプは、別に載せている自作のものです。
気温は78年7月の仙台ですから、ほどほどの暑さだったろうと思います。C-404EXとAT-15Eを比較したみたちころ、明らかにC-404EXの
方が分解能が高く、なめらかで、伸びのある音でした。このため、しばらくC-404EXを常用していました。
ただ、秋を過ぎて寒くなってくると、レコードのトレース能力が弱くなってしまいました。カートリッジを得意とするメーカーでないためか、ゴムが固くなる
など、振動系の設計に弱点があったものと思われます。音は良くても、レコードをトレースできないのではどうしようもなく、AT-15Eに戻ることになって
しまいました。
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