2SA1015/2SC1815 100パラ無帰還パワーアンプ
(このアンプは、A&Vフェスタ2009自作オーディオ自慢大会に出品しました。)
概要
比較的入手の容易な部品を使ってパワーアンプを作ってみました。電圧増幅段はフォールデッドカスコード+カレントミラー
電流増幅回路を使用し、約30倍増幅しています。出力段は、プリドライバ段がA1015/C1815の2パラ、
ドライバ段が同じくA1015/C1815の8パラ、最終段がA1015/C1815の100パラです。
また、回路を複雑にしないようにするため、定電圧電源、DCサーボは採用していません。
ケースはアタッシュケースを使用し、入出力端子を側面に配置して縦置きができるようにしています。
回路
入力を2SK30Aの差動増幅とし、2SC1815による通常のカスコード回路の後に2AS1015を用いたカレントミラーで電流を4倍に増幅します。
この電流を2SA1015のフォールデッドカスコードで反転し、負荷抵抗である10kΩに電圧を発生させます。
初段の2SK30AはGRランクのためIDSSに余裕がないので、パラにしています。トランジスタはシングル増幅で電流が大きいため、
熱的に余裕がないところは、パラにし、かつエミッタに抵抗を挿入してhfeなどの違いによる電流差を抑制するようにしています。
増幅段全体は、直流的に対称動作するようにしています。全体の動作電流を決める定電流回路は2SK30AのGRランクで、
IDSSに余裕がないので3パラにし、8mA流しています。
直流的に対称動作していることと、直流成分を100%帰還しているため、ドリフトはほどんどなくありません。
電源電圧の変動に対しても影響を受けにくい回路であるため、定電圧電源を使用しなくてもハムは聞こえません。
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電圧増幅段の回路図 |
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過電流保護回路 |
プリドライバ段はA1015/C1815の2パラ、ドライバ段はA1015/C1815の8パラ、最終段がA1015/C1815の100パラです。(ドライバ段と最終段は、通常のパワーMOS-FETに置き換えることができます。)アイドリング電流は、全体で130mA程度流しています。エミッタ抵抗が47Ωと大きいため、温度変化に対する電流変化はあまり大きくありません。今回は温度補償をしていますが、ある程度風を当ててやれば、温度補償なしでも大丈夫な感じです。
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出力段 |
動作確認
長時間音楽を聞いてみましたが、トラブルもなく安定に動作しています。また、広い会場で大音量で再生する機会がありましたが、
全く問題なく動作しました。出力段の電源電圧が±15程度ですから、10W程度の出力と考えられます。
しかし、無帰還アンプは歪感が少ないので、もっと大きな出力のアンプのように聞こえます。
出力段のA1015/C1815の100パラは、ベースに入れている1kΩのためか発振などはなく、安定です。
音
これは主観によるものですが、2006年のA&Vフェスタで展示したアンプよりも奥行き感が増していて、
無帰還アンプの良さが出ているのと思います。また、低音が豊かに感じられ、聞きやすい音に仕上がっています。
スペック
特性は左右で差がなかったので、左chの結果だけを示します。
増幅率:27倍
出力インピーダンス:0.5Ω
最大出力(8Ω負荷):11W
周波数特性:5Hz(-0.1dB)~500kHz(-2.3dB)
残留雑音(入力ショート):200μV
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