自作NO-NFB (NON-NFB,無帰還) メインアンプの製作記録
はじめに
1.設計と製作
(1)アンプ部
(2)電源部
2.音
最後に
はじめに
NO-NFBのメインアンプは、ドリフトを少なくすることと、出力電圧を確保することが問題になります。出力電圧を確保するため、増幅段とダーリントンの1段目の電源電圧はは、出力段の電源電圧よりもかなり高めにしています。また、ドリフトを少なくするため、出力段のバイアス回路を別に設定しています。
1.設計と製作
(1)アンプ部
出力段のバイアス回路を別に設けているといっても、増幅段のドリフトが大きいと、出力振幅電圧がとれなかったり、増幅率が変化したりします。このため、増幅段は可能な範囲で対象動作するようにしました。入力は、Dual FETとし、2段目は直流的に対象動作するようにしています。
出力段は3段ダーリントンですが、振幅電圧を確保するため、3段ダーリントンの1段目は、増幅段の電源を利用しています。その後に、カップリングコンデンサを入れ、バイアス回路を設けて、出力段の2段目、3段目の電流調整を行い、かつドリフトを無視できるレベルに抑えています。
入力に用いたDual FETは、2SK58です。初段では殆ど増幅していないので、Dual FETでなくても問題ないかもしれません。2段目は、2SB716のシングル増幅です。直流的に対象動作とするように、初段の電流で動作点が決まるような2SD756の定電流回路を設け、負荷抵抗は15kΩを2本使っています。
出力段のバイアス電流は、ツェナーダイオードの電圧を利用して、温度補償回路を形成し、そこから10kΩの抵抗で供給しています。出力段はB級動作で、300mAを流しています。パワー段には、2SC1096/2SA634を使用しました。耐圧が低いためオーディオ用にはあまり使われない石ですが、手元にたくさんあったのと、供給する電源電圧が低いので使ってみることにしました。見掛けは華奢な石ですが、十分に使えるようです。
出力段の電源電圧が±15Vですから、出力は10W程度でしょう。
入力部付近 初段の2SK58と、中央部にアルミ材に接着したB716とD756が見える。
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(2)電源部
増幅段の電源部は、ベース電圧を固定したエミッタフォロワ出力です。出力電圧からフィードバックしていないことを除けば、通常の定電圧電源と似たような構成になっています。
出力段の電源回路も、電圧増幅段のものとほぼ同様の回路です。放熱器は手元にあった少し小さめのものを使ったので、あまり余裕がないのは分かっていたのですが、それでも10年間くらい頑張ってくれました。放熱器に余裕のあるものを使えば、長期間の使用に耐えられるはずです。
アンプ全体
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2.音
NO-NFBアンプの音が顕著に出るのが、メインアンプです。NFBアンプに較べると、サ行の声の荒れが少なくなり、奥行き感が出てきます。また、音量を上げていっても、歪を感じるポイントが出てきません。
ピークレベルメータで見ていると、明らかにクリッピングポイントを超えているにも拘わらず、うるさくならないのです。この点も、NFBアンプと大きく異なる点です。
最後に
現在、このアンプは電源回路のトランジスタが壊れていて、修理待ちです。熱負荷に余裕がなかったので原因です。早く、修理したいと思っているのですが、E-301が代用で働いているので、ずるずる伸びています。今年中には、何とかしたいと思っています。
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