DIU-9000 SL ETC車載器の取付け
このページの内容は、ETC車載器の電源をシガーライターから取ることを推奨
するものではありません。
車への装着に自信のない人は、ディーラー、カー用品販売店などに依頼しましょう
我が家の古ーーーーい車には、カーナビもETCも付いていない時代遅れの代物でした。しかし、
オーディオ仲間と鎌倉合宿をするときに、SDカードメモリのカーナビを購入してしまいました。
それからしばらくしてyahooオークションを見ていたら、ETC装置がかなり安い値段で出ています。
リースの取り扱いになっているようですが、よく調べてみると補助金が出ていて安くなって
いるようです。
こうなると、買ってみたくなるの人情というもので、デンソーのDIU-9000SLを買ってしまいま
した。(正確には2年間のリースで、2年後に10円を払う必要がありますが、送られてきた書類
には意味深な文章も一行書いてありましたが。)
(電源を確保する方法の検討)
DIU-9000SLの電源は、車のキーと連動する電源1本(ACC)、常時供給電源1本(+B)、
それにアースの3本が出ています。 説明書を見たら、内装カバーを外して配線を通すようにと
書いてあります。 車を購入したときにサービスマニュアルも一緒に買ってあったので やって
できないことはないのですが、 もっと簡単にシガーライターから電源を取れないか、
インターネットを調べてみました。
そうしたら、ACCと+Bをシガーライター電源から採ることも可能なようですが、車のキーを
OFFにしたときカードの抜き忘れ音声案内機能と、音量調整の記憶機能が働かなくなるようです。
また、シガーライターソケットは接触が不安定で、ノイズ発生の原因となり好ましくない
というような記事もありました。
接触が不安定ならば、コンデンサをうまく使えば解決できそうですし、カード抜き忘れ
音声案内機能はスーパーキャパシタをバックアップ電源として使えばなんとかなりそうです。
音量調整の記憶機能についても、バッテリー上がりを考えると常時大きな電流が流れている
はずはなく、車のキーをOFFにしたときにメモリに書き込む時間を確保できればいいはずです。
ちなみに、パナソニック、デンソーなどの三線(+B、ACC、Ground)が必要なタイプの他に、
他メーカにはACCとGroundだけで動作する装置があるようです。
(電源の設計)
設計というほど考えることはないのですが、最低限以下の項目は守る必要があります。
1.車のリレーに負担にならない回路とする。
2.ヒューズは付ける(シガーライターソケットに内蔵でもOK)。
3.車のキーのON-OFFで、異常電圧が発生しないようにする。
また、電源の供給先は、ETCの他にFMトランスミッタもあるので、その電源も一緒に
作ることにします。
まず、+BからACC側に電流が逆流しないようにダイオードを入れます。こうしておかないと、
車のキーをOFFにしたとき、ACC側にもスーパーキャパシタからの電圧が供給されてしまい
ETC車載器がキーOFFを認識しなくなってしまいます。
あと、前述のようにノイズ発生が問題ならば、ノイズフィルターを入れたらいいだろうと
いうことで、手元あった
スピーカーネットワーク用の0.2mHのコイルを使いフィルタを構成します。また、接点は
トラブルの原因になりがちなので、接点の後にはコンデンサを入れるようにしました。
コイルがあると、リレーやスイッチをOFFにしたとき高電圧が発生する可能性がありますが、
このコンデンサを入れることによって急激な電圧変化が抑えら
れ、高電圧の発生を抑える効果も期待できます。
+Bの電源は、手元にあったNEC/TOKIN FS11V 0.47Fスーパーキャパシタを10個使い、車のキーが
OFFになった後のバックアップを行います。 このスーパーキャパシタは、放電時の電流が50mA程度
以下で使用するように設計されているようです。
DIU-9000SLの説明書では、最大電流が500mAとな
っていますが、アンテナから送信する場合の最大負荷時の電流だと思われます。
車のキーOFF時以降は、最大でも半分の250mA程度でしょうから、5個パラにすれば十分と判断し
ました。 またスーパーキャパシタの耐圧が11Vであり、自動車の12V電源に使うには耐圧が
不足します。このため、2段重ねの直列にして使用します。このとき、スーパーキャパシタの
電圧をバランスさせるためと、長時間使用しないときに電圧を放電させるためにブリーダー
抵抗4.7kΩを入れます。電圧をバランスさせるためには、もっと小さな値の抵抗がいいので
しょうが、この抵抗にあまり電流を流したくないことと、少しくらい電圧のアンバランスが
あっても問題はないのでこの値にしました。
あと、車のキーをONにした時、ダイオードだけを挟んでシガーライタの電圧を直接スーパー
キャパシタに加えると瞬間的に大電流が流れます。このため、100Ω5Wのセメント抵抗を
直列にいれます。しかし、このままだと車のキーOFF時にDIU-9000SLに供給する電圧が
不足してしまうので、放電用に充電方向とは逆向きにダイオードを入れておきます。
ダイオードは順方向電圧が小さいショットキーダイオードを使います。ここでは、サンケンの
RK-16を使いました。
このような回路構成にしておけば、シガーライターソケットが緩んで接触不良を起こしACCの
電圧が下がったとき、スーパーキャパシタからは電流が供給されますので、カード抜き忘れ防止の
音声案内が働きます。 100%確実に接触不良を
チェックできる訳ではありませんが、心配要素がかなり減るはずです。
この電源にはコンデンサをたくさん使用しているため、車のキーをONにした時の突入電流に
よってヒューズが飛ぶ可能性がありました。このあたりは実際に取り付けて様子を見ることに
し、組み上げてから動作させてみたところ、2Aのヒューズで問題ないようです。もし問題があれば、
遅延リレーを入れる対策を考えていたのですが、まずはOKとしました。
ACCの電源ラインに入れてあるスイッチは、ETCを使わないときにETC車載器からの音声が
煩わしいので、簡単にETCをOFFにしてしまうためのものです。
発光ダイオードは、電源が正常に供給されていることと、ACC電源の確認のために付けてあります。
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この回路図で、スーパーキャパシタの代わりに単一乾電池8本を直列接続したものと置き換えても動作すると思われます。このときは、
100Ω5Wの抵抗、4.7kΩの抵抗を外します。
この場合、当然のことながら、電池の消耗を考慮した管理が必要になります。
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(組み立て)
車の中に置くので、あまり体裁の悪いのも考え物です。そこで、CD用のケースに組み込むことにしました。空いている所は、遅延リレーを入れることを考え
たものです。
ケースの左側にある白いものが、FMトランスミッタです。
シガーライターソケットの分配器。カーナビなども繋いでいるので、少々雑然としています。
アンテナの取付け(右側)と、配線の状況です。
ETCの取付け状況です。配線の左側が電源、右側がアンテナです。
(動作確認)
車のキーをONにしてから、30分間ほどでスーパーキャパシタ部分の電圧が13.5Vくらいになります。
ただ、充電途中であっても、車の12Vラインから電流は供給されるのでETCの動作は問題ありません。
車のキーをOFFにした後は、スーパーキャパシタの電圧が10秒間ほどで1.5Vほど降下します。
その後は、ほとんど変化しなくなります。この10秒間ほどの間にカード抜き忘れ防止の音声案内と、
音量調整の設定保存をしているようです。
実際にETCカードを入れたまま車のキーをOFFにすると、ちゃんと音声で注意してくれます。
また、音量調整の設定も保存されていました。(スーパーキャパシタの電圧が0.2V程度まで
下がったことを確認してから、車のキーをONにしても、ちゃんと音量設定が保存されていますので、
保存する場所があって、そこに書き込んであるようです)
(費用対効果)
この方法は、手元にスーパーキャパシタを持っている、秋月・鈴商・千石・若松などで部品を
買って組み立てることができるなど、電気関係の自作マニアでないと支出ばかり嵩むと思います。
まして、カード抜き忘れ音声案内機能、音量調整記憶機能を使わないという人にとっては、
ほとんど価値がないでしょう。
逆に、簡単に取り付けしたいが、カード抜き忘れ音声案内、音量調整記憶機能も使いたいと
いう人にとっては 価値があるかもしれません。
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