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NO-NFBプリアンプの製作1-設計

1.設計方針
(1)全体構成
(2)各アンプユニット
(3)電源

NO-NFBプリアンプの製作2へ

きっかけ
 2001年の8月にyahooオークションを眺めていたら、プリアンプのジャンクが出品されていました。 AccuphaseのC-200で基板類は全て外してあるものです。 プリアンプのケースに利用できそうだったので落札することにしました。
 さて、それから2年後の2003年11になって主な部品が揃ってきたので、 プリアンプを組み立てることにしました。

1.設計・製作方針


増幅回路

 プリアンプに使うアンプは、出力にカップリングコンデンサを入れるため、ドリフトについてはあまり気にせずアンプを作ってきました。 しかし、シングル増幅で構成したNO-NFBイコライザーアンプのカップリングコンデンサ前の出力をオシロスコープで見ていると、結構フラフラしています。 カップリングコンデンサに大きな容量のものを使うと、 パワーアンプにドリフト成分が出力され、 ドリフト成分を増幅することになってしまいそうです。 そこで、今回は、極力ドリフトを少なくするような回路を採用することにしました。

 今回のアンプに使う基本的な回路を下図左に示します。


今回使用する基本回路

以前に使用した回路の概要


 右側の回路構成は、20年位前からパワーアンプで使っているものです。 初段がDual FETの差動アンプであり、2段目が直流的に対象動作しているため、 ドリフトが比較的小さな回路です。 初段の定電流回路の電流が変動しても、電源電圧が変化しても影響を受けにくくなっています。 しかし、2段目のトランジスタで発生するドリフトは以前から気になっていました。 2段目は増幅率を高く設定しているため、上のPNPトランジスタと下のNPNトランジスタの温度バランスが崩れると、それが増幅されて大きなドリフトとなってしまいます。 かといって、以前は手頃なDual トランジスタが入手できなかったため、簡単な熱結合でごまかしていました。

 2段目で発生するドリフトを抑制するためには、トランジスタの温度変化をキャンセルできればよいわけです。 現在では、Dualトランジスタが入手可能ですので、ドリフト低減のためにDualトランジスタの片方をダイオードとして使い、トランジスタの温度変化をキャンセルしてドリフトを抑えてみることにしました。 2段目の増幅用トランジスタの温度が変化しても、 ダイオードとして使用している対のトランジスタによってある程度打ち消され、ドリフトが小さくなるはずです。 また、この回路のメリットとして、2段目の電流変化による歪みの発生も小さくできる可能性があります。

 出力段ですが、小信号出力にMOS-FETが入手可能ですので採用してみました。 トランジスタだと2段目の負荷抵抗による出力インピーダンスの上昇を考慮する必要がありますが、MOS-FETだと気にしなくて済みます。 但し、電極間の容量が大きいので、2段目の負荷抵抗を大きくする場合は注意が必要です。
 2段目の負荷抵抗が15kΩ以下の場合はJ509/K2962を使います。 安価で取り付けスペースも小さくて済みますし、出力インピーダンスも低めになります。 2段目の負荷抵抗が20kΩを超えると、J509/K2962では容量が大きいため高域側の帯域が下がりすぎる可能性があります。 その場合は、J76/K213を使います。
 

コネクタ、ボリューム、スイッチなど
 最近のプリアンプ、コントロールアンプは、音質向上のためにコネクタ、ボリューム、スイッチ類が少なくなっていますが、これらはある程度多い方が使いやすいと思います。 C-200に付いているコネクタ類は、引き続き利用します。 但し、錆があったりするので、交換することにします。
 ボリュームは、バランスコントロールを省力する例が多いですが、これも使えるようにします。
 逆に、私が使わないトーンコントロール、モノ-ステレオ切替などのモード切替などのボリューム、スイッチ類は、外観上、ツマミ、ボタン類は残すものの、使用しません。

C-200には、イコライザーアンプの他に、マイクアンプ、ヘッドホンアンプ入っていたようです。 これらも組み込むことにします。

テープデッキ3台分のRCAジャックが準備されています。また、デッキ1デッキ2は相互にコピーできるようになっています。 これらは全て利用できるようにします。

テープデッキ3台を同時に接続した場合、負荷インピーダンスが下がり過ぎて、低域の下限再生周波数が上昇する可能性があるので、バッファーアンプを入れてテープデッキに出力します。




電源


 以前、鈴商で17V1回路、17V-0V-17V1回路が一緒になった小型のトランスを見つけましたので、これを8個使います。また、千石電商で耐圧60Vのショットキーダイオードが安売りしていたことがあり、衝動買いしたものがあったので、これを有効に利用することにします。
 結局、イコライザーアンプ用に±35Vを2系統、フラットアンプ用に±35Vを2系統、マイクアンプ用に±15Vを1系統、バッファーアンプに±15Vを1系統、ヘッドホンアンプの増幅段用に±15Vを1系統、ヘッドホンアンプの出力段用に±10Vを1系統にします。
 このようにしたため、アースに流れる信号電流をなるべく乱さないような配線にすることにします。




部品

部品は基本的に、汎用品を使います。 抵抗は、当然、秋月で購入した1本1円のものを使います。 但し、ストック品があったり、中古品が安く手に入ればオーディオ用部品や、高級品を使うことにします。
 アンプの回路で改善の余地がなくなってきたら、部品に金をかけることも検討したいと思いますが、 オーディオ用と謳っているものは、音質改善効果の割には高価すぎるような気がします。 まあ、高いか安いかは、買う人の判断ですからとやかく言う筋合いのものではないですが、 私は高いと感じてしまいます。 1本が50円以上もするような抵抗は、使うのを躊躇してしまうような貧乏マニアなもので・・・・

秋葉原などでに行ったときに、目に付いて購入した部品、安価だと思った部品は極力利用します。
・トランスは鈴商で安価に手に入れたもの
・入力切り替え用のロータリースイッチは、同じく鈴商で手に入れた岩通MPS33
など

中古品で利用できるものは極力利用します。

(1)全体構成
 アンプの全体構成概要を以下に示します。最近のコントロールアンプには見られなくなった、イコライザーアンプ(EQアンプ)、マイクアンプ(MICアンプ)を組み込みます。 また、実際の入力は、この2つの他に5系統あり、そのうちの1つはフロントにあります。 下図にはTAPEデッキを2系統しか描いていませんが、実際にはTAPEデッキが3台接続できます。 3台目のコネクタはフロントにあります。 フラットアンプの出力は、Rearに2系統、フロントに1系統あり、使いやすくできています。
 ヘッドホンアンプは、TAPEセレクタからの出力に接続します。 ここには、他にバランスボリューム、メインボリューム、テープデッキ用バッファーアンプが並列で負荷としてぶら下がりますので、 インピーダンスが下がり過ぎないようにバッファアンプを入れます。

 普通のプリアンプと最も違うのは、入力アースの処理だと思います。 ユニットアンプ毎に独立した電源を供給するので、アース処理が比較的自由にできます。 このため、入力切替と連動してアース側も切替えることにし、 EQアンプとMICアンプ以外の入力では、シャーシアースを別に落とすことにしました。 アースを切り替えるとき、アースに電位差があるとノイズが発生しますので、下図のように入力側のアースとフラットアンプ側のアースは抵抗で接続しておきます。



(2)各アンプユニット
 

バッファーアンプ (Bufferアンプ)

  

 左側のバッファーアンプはテープデッキ出力用、右側のバッファーアンプはヘッドホンアンプのボリウムへ接続するためのものです。テープデッキは最大3台接続されることと、テープデッキの電源がOFFになっている時に入力インピーダンスが大きく低下することがあるため、出力インピーダンスを下げ、ドライブ能力の高い構成にします。
 ヘッドホンアンプ用のバッファーアンプは、負荷となるのがヘッドホンアンプの入力ボリュームが10kΩだけですので、簡単な構成にしてあります。



フラットアンプ



 フラットアンプは、増幅率を10倍とします。初段は2SK389、2段目は2SA1349の片側、出力段は2SJ509/2SK2962とします。 出力段のMOS-FETの電極間容量が大きいので、2段目の負荷抵抗は15kΩとし、電流も多めに流します。
 2段目の最大振幅電圧は、ピークで±27~28V程度になりますので、負荷抵抗が15kΩだと2mAの変化になります。ここでは、1.5倍の3mAとします。 初段の電流は、2段目と同じにしたいのですが、3mAというのは大きすぎるので2mAとします。 出力段の電流は、2SJ509/2SK2962の60゚Cにおける許容損失は約0.6Wですので、 その1/3程度にして6mAとします。
 フラットアンプの出力は、3系統がパラになっているので、 カップリングコンデンサは容量を大きめにする必要があります。 今回は3.3μFを使いました。



イコライザーアンプ(EQアンプ)

工事中

マイクアンプ(MICアンプ)

工事中

ヘッドホンアンプ

工事中


(3)電源
 トランスが8個で、AC34VとAC17Vが8系統ずつあります。整流ダイオードは安価に購入したサンケンのRK-16ですし、耐圧が60Vですから、AC1系統にブリッジ整流で4個ずつ使うことにします。 ±2電源として使うときは、2系統を組合わせます。
 このようにする場合、アースを介さずにプラス側からマイナス側に電流を流そうとすると、 その電流は、一方のアースから両電源のアースが接続される点を通って反対側のアースに流れることになります。 定電圧電源部分のアースにこの電流を流したくないので、下図のように定電圧電源の前で一旦アース側を接続し、その中点を定電圧電源のアースとします。

 定電圧電源ですが、NO-NFBアンプの定電圧電源ですからここでもNFBは使いません。 定電流ダイオードとツェナーダイオード、それにケミコンで基準電圧を作り、トランジスタ1個で電流を供給します。
  






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