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NO-NFBプリアンプの製作2-製作

2.製作
(1)ケース(コネクタ、スイッチ、ボリウム、電源、配線)
(2)バッファーアンプ
(3)フラットアンプ

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(1)ケース(他に、コネクタ、スイッチ、ボリウム、電源、配線など)


ケースと主な部品

 ケースは、C-200を利用します。 C-200のトランス、配線、コネクタ類は可能な限り外し、 再利用するスイッチ類はクリーニングします。次に部品を取り付けますが、 RCAジャックは秋月で買ったRJ-2008AT/W(白)、RJ-2008AT/R(赤)を取り付けました。 リアパネルに空いている穴は、このRCAジャックにピッタリのサイズなので、交換は簡単でしたが、 フロントパネルは穴径が小さいことと、長丸の穴の部分があったので、リーマで穴を広げ、 銅のワッシャーを使って取り付けました。 マイクジャックと、ヘッドホンジャックも新しく買った部品が大きかったため、やはり加工が必要でした。 また、これらのジャック類は、ジャックのアース側がケースと接触すると、アースループを作ってしまうので 接触していないことを確認して取り付けました。



リアパネル
左下のphono入力は、アース端子をケースから浮かせて取り付けています。中央右下の、電源電圧切替プラグも、一応使えるようにしましたが、使うことはないでしょうね。

フロントパネル下のジャック類




 入力切替のロータリースイッチは、岩通のMPS33を使いました。 鈴商で700円で売っていたものです。 回路数、接点数、段数は、このアンプにピッタリでした。 もう一個買おうかと思って次の週に行ってみたら、もう無くなっていました。 カタログを見る限りでは、信頼性の高いもののようです。 ただ、プリント基板取付け用なので、直接配線するためにピンを少し曲げてハンダ付けしています。
 入力切替は、アース側も同時に切り替えていますが、アース間に電位差があると切替時にノイズが出ますので、68KΩの抵抗でバッファーアンプ・フラットアンプ側のアースと接続しています。

 テープ切替用のロータリースイッチはあちこち探しましたが、適当なものが見つからなかったので、C-200のスイッチをクリーニングして再利用しています。
 ボリュームですが、音量用はアルプスのデテント型50kΩA型、バランス用は50kΩMN型です。 音量用は、以前、三栄無線がまだ秋葉原にあったときに買っておいたものです。 今でも、バランスコントロール用は入手可能ですし、音量用A型の100kΩは三栄無線で入手できるようです。



入力切替部のロータリースイッチ





テープセレクタ部分のロータリースイッチ

ボリュームは、アルプス デテント型
右奥に見えるボリュームは、デザインを維持するためにダミーで取り付けてあるボリューム類




 トランスは写真では分かり難いですが、2段に重ね、絶縁ブッシュでケースから絶縁してしています。 2段に重ねたトランスは、漏洩磁力を少なくする目的で、磁力が互いに反発するように接続しています。 どのくらい効果があるのかは、不明ではありますが・・・・・
 整流回路の平滑用ケミコンは、1000μFを使っています。 これだけ数があると、ダイオード、抵抗、ケミコン、ノイズ除去用のフィルムコンデンサを取り付けるのに苦労します。


トランスと整流回路基板

天板を外した外観

 ケースの外観はC-200そのままになるようにしました(見掛だけですが、使っていないスイッチ、ツマミ類も操作することができます)。 実際に使ってみると、かつての高級機だけあって、操作性は良好です。

(2)バッファーアンプ
 テープデッキ用のバッファーアンプは、入力に2SJ103/2SK246のBLランク、出力側には2SA970/2SC2240を使いました。 2SJ103/2SK246は、2mA流したときにゲート-ソース間電圧が1.8V程度のものを選別して使用します。 2SA970/2SC2240のバイアス調整は、初めは抵抗だけで処理していたのですが、ダイオードを使った方が2SA970/2SC2240のバイアス電流が安定していたので最終的にこの形になりました。 2SC2240のベースに入れた抵抗は、2SA970のベース抵抗とバランスを取るために入れてあります。入力側のコンデンサ(82pF)は、高周波が入ったとき不安定になるのを防止するために入れました。



テープデッキ用のバッファーアンプ
ヘッドホンアンプのボリュームへ接続するバッファーアンプ

 ヘッドホンアンプのボリュームへ接続するバッファーアンプは、2SJ104/2SK364のBLランクを使いました。 4mA流したときのゲート-ソース間電圧が0.2V付近のものを選別して使用しています。
 カップリングコンデンサは、昔、買ってあったシーメンスのMKHコンデンサです。 絹糸を巻き、エポキシ接着剤で固めて使用しています。 抵抗は、カーボンにしようと思ったのですが、昔、買ってあったプレートタイプの抵抗を使いました。 音質とかいうようりも、いつまで経っても使わないままにしておくのがもったいなかったからです。

 組み立ては、ユニバーサル基板を使っています。電源とバッファーアンプを2種類組み込んだため、窮屈になってしまいました。 テープデッキ側のアースと、ライン入力側のアースは、この基板上で接続しています。


バッファーアンプ基板

テープデッキ用のバッファーアンプの特性を以下に示します。 バッファーアンプですから、歪率特性は発振器の歪率が下限になっており、周波数特性は、約10Hz~500kHz以上と優秀です(あたりまえか)。 歪率は、発振器の出力が600Ω負荷時に最大1Vなので、1Vまでしか測定していません。
 負荷抵抗を10kΩにした場合の低域側-3dBポイントは約10Hzでした。 入力インピーダンスが50kΩのデッキが3台繋がっても、大丈夫です。 ON-OFF法による出力インピーダンスは、10kHzで19Ω、1kHzで59Ω、100Hzで614Ωでした。



テープデッキ用バッファーの歪率
1kHz(発振器OCR11)、サウンドユニット:KORG U1、FFTソフト:WaveSpectra、
WaveSpectraの入力レベル:約-15dB、窓関数:ブラックマン-ハリス、サンプルデータ数:4096
テープデッキ用バッファーの周波数特性
0dB=1V出力、負荷抵抗:10kΩ

(3)フラットアンプ
 フラットアンプは、入力が2SK389のDual FETで、2SK68Aのカスコード接続で受け、2SA1349で増幅しています。 2SK68Aは、IDSSが4mA以上のものを選んで使用しました。 2段目の2SA1349は、設計の所でも述べたように片側のトランジスタをダイオードとして使用しています。出力段は、2SJ509/2SK2962です。 このMOS-FETは、電極間容量が大きく、帰還容量が合計で約40pF程度あります。 これと2段目の負荷抵抗15kΩで、高域の-3dBポイントは250kHz程度になってしまいます。 実際には、さらに低下するはずです。 ただ、電極間容量は大きいものの、順方向アドミッタンスが大きいので出力インピーダンスを下げることができます。
 抵抗は、秋月で購入したカーボン抵抗です。 バイパスコンデンサは、同じく秋月で購入した積層フイルムコンデンサを使いました。出力のデカップリングコンデンサは、シーメンスのMKHコンデンサを絹糸で縛ってエポキシ接着剤で固めたものです。 ここには、3.3μFを使いました。

 定電圧電源は左右独立ですが、アースは共通にしています。 ヘッドホンアンプを内蔵しているため、必然的にヘッドホンアンプのところで左右のアースが共通になるためです。 下手にアースを左右独立にしようとすると、アンプ内でアースのループができてしまい、ハムに悩まされることになってしまいます。
 仮に、ヘッドホンアンプを内蔵しない場合でも、テープデッキ、後に続くパワーアンプなどが左右共通アースになっていると、やはりアースのループができてしまい、ハム発生の原因になります。 接続されるデッキ、アンプなどのアースが左右独立のモノラル構成になっているとはっきり分かっている場合を除き、アースを左右独立にするのは避けた方が無難だと思います。

 電源を入れる前に、出力段のバイアス調整用半固定抵抗は、抵抗値が最大になるようにしておきます。 スライドトランスに電源プラグを差し込み、電源を入れ、徐々に電圧を上げていきます。 煙が出たり、 異常な電圧が出たりしたら、 直ちにチェックします。 問題がなければ、アンプの調整を行います。 まず、初段の電流を片側2mAずつ流れるように2SK30Aのソース抵抗を調整します(ソース側の7.5kΩの両端に15V程度の電圧がかかるようにする)。 次に2SC3381の電流を調整し、2SK2962のゲート電圧が約0Vになるようにします。 これは、マイナス側の振幅電圧に若干余裕があるため(注)、出力電圧を少しマイナス側に振っておくためです。 続いて、出力段のバイアス電圧を調整し、6mA程度流れるようにします(27Ωの両端に160mV程度の電圧がかかるようにする)。

(注)2SA1349側は信号をプラスに振ろうとすると、エミッタ抵抗の両端に発生する電圧が増えるます。例えば、プラス側に22.5V振った場合、エミッタ抵抗には4.5mA流れ、9Vの電圧になります。 これに対して、2SC3381側は、ほぼ一定の電流が流れ、エミッタ抵抗の両端に発生する電圧は6Vのままです。 このため、アンプの出力電圧を0V付近にしておくと、プラス側が先にクリップしてしまいます。 これを防ぐため、アンプの出力を若干マイナス側に振っておきます。

  

 組み立ては、ユニバーサル基板を使いました。 ちょっと大きめの基板にしたため、だいぶ余裕があります。




 仕上がりゲインは、19.8dB(9.8倍)でした。 歪率特性ですが、下図に示すようにNO-NFBアンプの特徴を現していて、出力電圧が0.5V以上になると徐々に歪率が上昇していきます。クリッピングポイントは、19Vでした。 周波数特性は、予想通り高域側が早めに落ちており、-3dBポイントが約200kHzでした。 ON-OFF法による出力インピーダンスは、10kHzで25Ω、1kHzで51Ω、100Hzで400Ωでした。



フラットアンプの歪率
1kHz(発振器OCR11)、サウンドユニット:KORG U1、FFTソフト:WaveSpectra、
WaveSpectraの入力レベル:約-15dB、窓関数:ブラックマン-ハリス、サンプルデータ数:4096
フラットアンプの周波数特性
0dB=1V出力、負荷抵抗:10kΩ

 ケースに電源、バッファーアンプ、フラットアンプを納めた様子を下の写真に示します。 配線は、昔から綺麗にまとめるのが下手で、雑然としたものを作っていましたが、やはりその癖は直りません。 これでも、昔に較べると綺麗になっているのですが・・・・




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