CR型無帰還イコライザーアンプの改造 (2009年8月30日製作)
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はじめに
1.改造
(1)アンプ部
(2)電源部
(3)測定結果
2.音
はじめに
30年前に作ったイコライザアンプは、電源部分のトラブルがあって、何度か改造してきたものの、アンプ部分は非常に安定で、全く問題なく動作しています。
しかし、30年前は部品が高かったことと、貧乏だった(今でも事情はあまり変わっていないが)ために特性の揃った2SK30A(現在の2SK30ATMではありません)
を使っていなくて、DCバランスが狂いやすいという問題があります。また、コンデンサも精度の低い物を選別して使っていますが、
もっと安定なものに交換してみたいと思っていました。
そうこしているうちに、「手作りアンプの会」2009年冬のお寺大会の課題がフォノイコライザアンプになりました。そこで、
この準備も兼ねて部品交換などの改造をすることにしました。
1.改造
改造する部分は、以下の各点です。
- 特性差があるものが混在していた定電流回路の2SK30Aを、選別して特性の揃った2SK246に置き換える。ゲートソース間抵抗は大きな値が選べるように(
動作抵抗を大きくするため)、BLランクを使用する。
- 一部、カーボン抵抗を使用しているところは、金属皮膜抵抗に交換する。
- 音声信号の通るカップリングコンデンサ、CRイコライザ部のコンデンサはポリプロピレンタイプに変更する。また、
CRイコライザ部のコンデンサは選別して精度を高める。
- 一段目のアンプは、耐入力と利得のバランスから、20倍増幅とする。具体的には、2SK43のソース抵抗を1.5kΩに変更する。
- 電源部を低ノイズで無帰還タイプに変更する。
- 電源部に入れていた47μFと100μFのケミコンを外す。
(1)アンプ部
回路図を示しますが、2SK30Aの定電流回路を2SK246に変えています。BLランクの下限あたりのものを使用しましたので、
ゲート-ソース間抵抗は1kΩより若干小さくなります。半固定抵抗も、1kΩに変更しました。
以前は音声信号の通らない抵抗はカーボンでしたが、全て、金属皮膜抵抗に変更しています。また、定数も見直しましたので、その抵抗も変更しています。
カップリングコンデンサは日本ケミコン(マルコン)のTACBコンデンサ、イコライザ回路のコンデンサはTACBコンデンサ、
ニッセイのAPSコンデンサ及び松下のECPQに変更しました。実装する前に容量を測定してペアを組み、左右で差が出ないようにしました。
写真を示しますが、日本ケミコン(マルコン)のTACBコンデンサが目立ちます。
(2)電源部
電源部は、実績のある無帰還タイプに変更しました。ツェナーのノイズをCRフィルターで減衰させる方法は、電源動作の安定化と低ノイズ化に有効です。
回路図、基板パターンを示します。
電源回路図
基板パターン(部品面側)
(3)測定結果
最近作った逆RIAA回路を使って、周波数特性を調べてみました。もちろん、逆RIAA回路の偏差は補正しています。
測定誤差が2重に加わるので、±0.3dB以内は誤差があると思って下さい。高域側で、マイナス側に偏移しています。特に、左側の誤差が大きくなっています。
コンデンサはペア取りしているので、抵抗の経時変化の影響があるのかもしれません。
ノイズは昔から気になっている項目なのですが、今回の改造でも全く変化しなくて0.3mV程度あります。聴感上は、高能率のスピーカーで、
かなり音量を上げても気になりませんので、低域の雑音が主だろうと思われます。
2.音
カップリングコンデンサをTACBコンデンサに変更したせいか、音が落ち着いたような気がします。しばらくLPレコードを聴いていなかったのですが、
このイコライザアンプを改造したことと、ヘッドアンプを作ったのでLPレコードの音を楽しんでいます。
ケース内部
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