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センサレスハンダごて温度コントローラの製作
(2012年11月17日、11月18日改、2013年1月改)

その2はこちら(2SK2186をパラにして大電流化)
その3はこちら(電圧検出用抵抗を交換可能にして汎用化)
その4はこちら(温度制御の高精度化)

 手作りアンプの会「山中湖合宿」で岩井さんがハンダ付けの実演をしてくれましたが、その時にハンダごての正しい使い方を初めて知ることができました。今までは、適当に使っていたのでこて先の管理なんかも全くしていなかったのですが、それ以降はこて先にハンダを載せた状態で作業を終えるようにしています。
 こて先に気を使うようになってから、温度の管理も気になりだしました。今使っているハンダごては、gootのCX-40で25年くらい前に広島県の呉市で買ったものです。こて先を交換したりしながら使っているので、手に馴染んでいます。しかし、調光器やスライダックで温度を調整するのも面倒なので、そのまま使っていました。このために、使っている時にはこて先の温度が上がり過ぎてはんだが乗りにくい状態になっています。


 温調型のハンダごてに変えればいいのでしょうが、CX-40はまだ使えるので捨てる気にもなりません。また、これに慣れてしまっていて他のハンダごてに変えるとハンダ付けが思うようにできません。
 ネットでハンダごての温度管理を検索していたら、セラミックヒーターのハンダごてを自動で温度調整しているページがありました。セラミックヒーターのハンダごてであれば抵抗の値を変えることで色々なハンダごてに対応できるようです。そこで、温度コントローラを作ってみることにしました。

(回路の検討)
 セラミックハンダごての温度調整は色々な方法があるようですが、手元にある部品をうまく利用できて、出費が最小限で済む例を探しました。下手に部品を買い集めて作ったりすると、温調ハンダごてが買えてしまいます。 その中で、Toshi工房さんの「半田ごて用温度コントローラ」が一番作り易いかなと思われました。手元にない部品はフォトカプラと酸価金属皮膜抵抗くらいです。
 今回作ったコントローラの回路図を示します。基本的には、Toshi工房さんの回路と同じです。温度調整用のボリュームに高電圧を掛けて使うのは気分的によろしくないので、LM339コンパレータの下側にしました(回路図でVR1)。この位置に入れると、ボリューム或いは半固定抵抗の接点が接触不良を起こした場合でも、ハンダごての温度を下げる方向になるので、安全でもあります。ボリュームは手元にあった1kΩBの2連ボリュームを使っています。R1は100kΩの酸化金属皮膜抵抗を使いました。コンパレータは高速で動作させる必要がないので、入力に0.1μFを入れてノイズの影響を受け難くしました。配線図には実際の配線パターンに必要なジャンパー(記号J)も書き込んでいます。
 温度検出用の抵抗ですが、次のように考えました。
セラミックヒーターの抵抗値が最大で600Ωくらいまで調整できるようにします。 CX-40の抵抗を測定してみると、室温で約120Ω、100Vに接続したときが約450Ωでした。セラミックヒーターの抵抗変化を検出する抵抗R3の値は、結果的に2.4Ωです。実は、どのような値がいいのか見当がつかなかったので、それらしい数値で手元にあったセメント抵抗を使いました。また、R1を100kΩ、当初はボリュームVR1が1kΩ、VR2は固定抵抗の390Ωを使いました。
こうすると、VRが0Ωでセラミックヒーターが600Ωのとき、R2は390Ω付近になります。低温側はVRが1kΩのとき、セラミックヒーターの抵抗が約170Ωとなり、余熱した状態で待機できます。
 (11月18日追加)
 実際に使ってみたところ、ボリューム(回路図でVR1)を回していくとハンダごての電源がOFFにならない部分がかなりあることが分かりました。これだと温度調整がやり難いので、固定抵抗を半固定抵抗に変更しました(回路図でVR2)。調整は、ハンダごてを接続して行います。まず、電源を入れてからボリュームVR1を回しきります(抵抗値をほぼゼロにする)。しばらく待ってハンダごてが熱くなってきたら、半固定抵抗(VR2)を回して緑のLEDが点灯を続ける状態にします。下記の回路図でCX-40の場合は、半固定抵抗の値が約500Ωでした。
 また、ハンダごてがちょっと温まる状態からフルパワーまでのように調整範囲を広くするとハンダ付けに適する温度範囲でボリュームの設定範囲が狭くなってしまうことが分かりました。時計の針に例えると、2時~3時程度の範囲になります。これだと温度調整がやり難いので、ボリュームをパラにして500Ωとして使うことにしました。元々2連ボリュームなので、パラにしただけです。これでだいぶ使い易くなってきました。

 MOS-FETは、手元にあった2SK2186を使っています。また、手元に小型のトランスがたくさんあるので、2SK2186のON抵抗を下げるために、別電源を用意しました。2SK2186をONにするときは、ゲートソース間に10V程度の電圧が掛かるようにします。これにより、2SK2186の発熱を心配をしなくてもよくなります。フォトカプラは、秋月でTLP621を買いました。抵抗ですが、発熱するところには酸化金属皮膜抵抗の2Wタイプを使用しました。また、発熱を分散させるためと、熱的に余裕を持たせるために直列に2本使っています。LM339は内蔵の4個うち1個だけ使いますが、残りの3個は、出力がバタつかないように入力電圧に0.6V程度の差を付けています。この0.6Vは、13Vのツェナーダイオードの下側に1N4148を入れて作りました。



 プリント基板は、ユニバーサルにしました。図中の点が基板の穴と考えて下さい。AC入力とハンダごてへの出力ですが、回路図ではコネクタを入れていますが実際にはハンダ付けで接続しています。







 ケースは、感電がいやなのでダイソーから買ってきたCDケースを使いました。 プラスチックで囲っておけば、電源系に直接触ることがなくなります。



 配線をチェックしてからスライダックで徐々に電圧を上げ、動作確認します。このとき、配線ミスが見つかりましたので、修正して再度動作確認しました。ハンダごてを接続すると、緑のLEDがチカチカして温度調節が効いていることが分ります。ヒーターの温度は通電してすぐに上がっていくようで、5秒程度で温調が始まります。こて先の温度がある程度上がるまで連続通電するのかなと思っていたので、この点はちょっと意外でした。こて先まで熱が伝わるまで意外と時間がかかるようです。 整流後の直流電圧は、無負荷のときに140V、ハンダごてに電流が流れているときは130Vくらいです。





(使用感)
 最初は温度を低めにして使ってみました。様子を見ながら徐々に温度を上げて行き、ハンダが乗るのにいつもより少し時間がかかる状態で使っています。こて先の状態を見ながら、使いやすい温度にしていくつもlりです。
 (11月18日追加)
 感覚がなかなか掴めなかったのですが、徐々に慣れてきています。やはり、以前のハンダ付けの感じに近い所で使うようになっています。しかし、こて先の温度は以前よりもだいぶ低いようで、フラックスがすぐに焦げてしまうようなことは無くなりました。こて先の温度が安定しているのは気分的に楽です。
 また、直流電圧はハンダごてに通電しているときは130Vになっています。130Vの電圧が使えるので、連続して通電すると一回り熱容量の大きなハンダごてになります。面積が広くて温度が上がり難いアースパターン周りは、今まで苦労していましたが、その点、この温度コントローラは効果抜群です。

 何はともあれ、ハンダごてのヒーターの温度調整ができるようになりました。CX-40もまだまだ頑張れそうです。

(その後の改造) (2013年1月)
 電源ラインの接続はハンダ付けで処理していたのですが、改造する時に大変なので秋月で売っているターミナルブロックに変更しました。見栄えがだいぶ良くなりました。  また、緑のLEDは輝度が不足していて通電しているのかどうか分かりにくいので、秋月で売っている青色LEDのUB3804Xに変更しました。これで、ヒーターがONになっていることが分かりやすくなりました。
 あと、岩井さんからハンダごてこて先温度計を借用できたので、つまみの所に印を付けて、こて先の温度が分かるようにできました。また、つまみの位置が決まると、回路図の100kΩ(R1)、電圧検出用の抵抗2.4Ω(R3)、それにボリュームVR2+半固定抵抗VR1の値からヒーターの抵抗が計算できます。抵抗の誤差があるので おおまかな値になりますが、計算してみると、こて先温度が300℃、320℃、350℃のとき、ヒーターの抵抗はそれぞれ約303Ω、322Ω、349Ωでした。
 製作記録2では、他のヒーターとの比較を行なっています。




ヒーターがOFFの状態(青のLEDが消えている)


ヒーターがONの状態(青のLEDが点灯)

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